ジョグもペース走も、これ一足でカバーできる。それがアディゼロ ボストン13だ。自分はこれまでボストン8からシリーズを履いてきたが、今回の13は約2年ぶりのアップデートとなった。しかも、待望のモデルというだけでなく、練習の幅を広げてくれる一足だと感じた。
この記事では、市民ランナーとして実際にジョグやペース走で履いた感想をレビューしていく。ジョグ兼ペース走シューズを探している人は、ぜひ参考にしてほしい。

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アディゼロ ボストンとは?(シリーズの立ち位置)
アディゼロ ボストンは、アディダスのランニングシューズシリーズ「ADIZERO」の中でも、長年人気を集めてきたモデルだ。その名前の由来はボストンマラソンであり、初代は1982年に登場した。そして現在のボストン13は13代目となる。
近年はカーボン入りの厚底シューズが台頭している。しかし、ボストンは反発力と安定感を兼ね備えた「練習でもレースでも使える万能シューズ」として支持され続けている。さらに、今回の13も先行販売から売り切れが出るほど注目度が高かった。
アディゼロ ボストン13の進化ポイント3つ
約2年ぶりに発売されたボストン13は、前作から大きく進化している。注目すべき変更点は以下の3つだ。
- 大幅な軽量化 → 長いジョグでも足への負担が減り、扱いやすさがアップ
- Lightstrike Pro(ライトストライク プロ)の増量 → クッション性と反発力が強化され、ペース走での安定感につながる
- エナジーロッド 2.0を採用 → 推進力を感じやすく、一定ペースを刻みやすい
細かなアップデートは他にもあるが、特にこの3点が走りに大きな影響を与える部分だ。
購入の経緯と選んだ理由
以前はアディゼロ ボストン11を履いていたが、重さとクッションの硬さが気になり、自然と手が伸びるシューズにはならなかった。そのためボストン12はスルー。
しかしボストン13のリリース情報を見たとき、「軽量化」と「クッション性の向上」が大きくアピールされており、自分が求める条件に合致した。特に軽さはシューズ選びで最も重視しているポイントであり、今回の購入を決めた決定打になった。
やっぱり軽さは正義だ。
アディゼロ ボストン13の外観とディテール
ここからはボストン13の細部を見ていく。
トゥ

大幅なアップデートがあった、10からロゴ等のデザインは変わったものの、形状に大きな変化はない。
ミッドソール


ソールは定番のLightstrike 2.0とLightstrike Proの2層構造。しかも、今作よりLightstrike Proの割合が13.8% 増量し、軽量化に加え、クッション性や反発性も向上している。さらに、全体的に層が厚くなったことで、フォアフットだけではなく、すべてのランナーにいい影響がありそう。
ヒール

前作に見られたかかとにあった、折りたたみのヒールタブがなくなり、すっきりとした印象。

ちなみにヒールの高さは36mm
アウトソール

今回大きく変わったのがアウトソール。

定番のContinental(コンチネンタル)ラバーの面積が小さくなった。

代わりにLIGHTTRAXION(ライトトラクション)が多く採用されている。
グラスファイバーも中足部に顔を覗かす。

自分の持っているアディゼロジャパン9も同じような形状だ。つまり、最近のアディゼロシリーズ全体に共通する流れになっている。
アッパー

軽量性と通気性を兼ね備えたエンジニアードメッシュを採用。そのため、やや硬さは感じるものの許容範囲内だ。
ヒールカップ

小さいながらも、反射板もあって夜のランニングもサポート。

硬さもそれなりにあり、サポート性も悪くない。だからこそ、履く前からフィット感への期待が持てる。
履き口


シュータンとアンクルパッドは、分厚目のクッションで、フィット感が増し、さらにサポート感が強化される。
インソール

インソールは着脱可能になっている。
重さ

重さは26.0cmで246g
ボストンシリーズは10以降、重量級の印象があったけど、ようやく250gを切って軽くはないけど、重くもないシューズに。
個人的に250gを超えると重く感じるので、これは嬉しいポイント。
サイズ感&フィット感

自分は普段ほとんどのシューズを26.0cm(普通幅)で履いている。今回のボストン13も同じ26.0cmを購入し、問題なくフィットした。現段階ではワイド(幅広)展開はなく、通常幅のみとなっている。
実際に履いてみるとフィット感は良好で、つま先に余裕もあり窮屈さは感じなかった。したがって、普段通りのサイズ選びで問題ない印象だ。
参考程度にこれまでレビュー記事はこちらから↓
・アディゼロ ボストン8 レビュー
・アディゼロ ボストン11 レビュー
・これまでのシューズレビュー
ボストン13で実際に走った感想

フィット感と安定性
履いて最初に感じたのは包まれるようなホールド感。分厚めのパッドがフィット感を高め、ヒールカップもしっかりしているので安心感がある。
反発とクッションのバランス
カーボン入りではないが、それなりに反発をもらえるので自然とペースは上がる。
クッション性は硬すぎず柔らかすぎずでちょうどよく、着地の衝撃をしっかり吸収してくれる。ボストン11で感じた硬さはなく、足への負担は軽減された。
転がるように走れる推進力
グラスファイバー製の「Energy Rods 2.0」によって、転がるような走行感を実感。低ドロップ(6mm)ながらも足の回転が自然に続き、ロング走でも気持ちよく走れる。
スロージョグではやや重さを感じる
26.0cmで246gと軽量ではないため、スロージョグでは重さを少し感じた。とはいえ、実際に20km走っても疲労感は大きくなく、長時間のジョグにも対応可能。
ボストン13で20km
— ファヌッチ@ランガジェ (@RunnGadgetter) June 7, 2025
3月のフルマラソン以来の最長距離。早朝ならまだ涼しくてイケるけど、途中の休憩はやっぱり必要。
本日の教訓:新しいシューズはテンション上がって、いつもより走れる pic.twitter.com/JkorxooLa0
あらゆる練習に使える万能さ
スプリントからロングジョグまで幅広く使えるのが魅力。このシューズを数足買って履き回すだけでも練習は完結できると感じた。
雨の日でも安心のグリップ

シャワーランで使用した際も、マンホールや側溝など滑りやすい路面をしっかり捉えてくれた。そのため、雨の日のトレーニングやレースでも安心して走れる。
ボストン11との比較

ボストン11から大きく進化したと感じたのは以下の3点だ。
- 重量が軽くなった
公式でも約20gの軽量化。履いた瞬間から軽さを実感でき、走りの軽快さにつながっている。 - 転がり方がより自然に
ボストン11は「走らされる」ような感覚があったが、13は自然な流れでスムーズに足が回転する。 - 硬さが軽減された
11では10kmを超えると足裏に痛みが出ることもあったが、13では20km走でも不安は感じなかった。
スペック比較
| ボストン11 | ボストン13 | |
|---|---|---|
| 発売年 | 2022年 | 2025年 |
| ミッドソール構成 | Lightstrike Pro + Lightstrike | Lightstrike Pro + Lightstrike 2.0 |
| Energy Rods | グラスファイバー製(5本) | グラスファイバー製Energy Rods 2.0(5本) |
| アウトソール | Continentalラバー | LIGHTTRAXION + Continentalラバー |
| 重量(27cm) | 約270g | 約255g |
| ドロップ | 約8~10mm | 6mm(ヒール36mm/前足部30mm) |
| 定価 | 18,700円 | 18,700円 |
比較しても分かる通り、重量・ミッドソール・Energy Rodsの3点が大きく進化。しかも、価格は据え置きで、コスパ面でも優秀なアップデートだ。
アディゼロ SL2と比較してみた

アディゼロシリーズの中でも、市民ランナーにとって定番のSL2と比べてみた。
ざっくりまとめると、
- ボストン13:レース~練習まで幅広く使える万能型。推進力が強く、ロングジョグやペース走に向いている
- SL2:価格も手頃で、ジョグからスピード練習まで対応できるバランス型。軽快さを求めるならこちら
履き心地の違い
ボストン13はLightstrike Proが増量されており、その分クッション性と反発力が高い。また、Energy Rods 2.0の効果もあって、前への推進力を強く感じられる。
一方SL2はソールがやや硬めで、反発は控えめ。その代わり安定感があり、ピッチを上げたい場面やスピード練習でも扱いやすい。
重さの比較


実測ではボストン13の方がやや重い。ただ推進力が強いので、走りが重く感じることは少ない。軽快さを優先するならSL2、推進力を重視するならボストン13が合う。
アディゼロ ボストン13はどんな人に向いてる?
ジョグもペース走もこなせる万能シューズ。それがボストン13に対する率直な印象だ。
とはいえ、市民ランナー目線では「1足目に選ぶシューズ」ではなく、2足目や3足目として持っておくのがおすすめ。
理由は、ミッドソールにグラスファイバー製のEnergy Rodsが搭載されているからだ。その結果、クッションや反発も中級者~上級者向けの仕様になっている。だからこそ、ベースとなるジョグ用シューズを持ったうえで、練習の幅を広げたい人にフィットする一足だと感じる。
- ジョグ(キロ5:30前後)での安定した走り
- ペース走(キロ4:30〜5:00)での反発を活かした走り
- 20km前後のロング走での脚作り
- 雨天のシャワーランでも安心できるグリップ
アディゼロ ボストン13まとめ
間違いなく、ボストン13は進化を遂げていた。そのうえで、フィット感・反発・クッション性・推進力のどれもが高水準で、市民ランナーの自分にとって十分すぎるほどの性能だった。
ジョグからロング走、テンポ走やレース本番まで、これ一足でカバーできる安心感がある。だからこそ、次のレースに向けて「相棒」を探しているなら、選んで損はないはずだ。
もっと軽さを求めるならタクミセンも候補になるけど、汎用性の高さはボストン13ならでは。アディゼロ沼、まだまだ抜け出せそうにない…。
最後までお付き合いいただき感謝。これからも気が向いたらのぞいてくれると嬉しい。


